梅田周辺/メチターチェリ
 
軽快に喋っている。
 話が途切れると、注文していたビールを二人一緒に飲んだ。昼下がりの休日。

 ビール。炭酸飲料、ショウガ、マーマレード、香草。
 その他、癖のある食べ物の多くにぼくは気をつかう必要がある。
 それらはすべて紀子の苦手な食べ物だ。
「パクチー」
「え?」
「言ってみただけ」
 紀子が首を傾げて困惑するそぶりを見せるので、ぼくも一緒になって傾げてみる。
「困った子」紀子が言った。
 
 雨靄に包まれた都会の気配が好きである。
 ここから見ると空は灰色で、いつもより固そうな雲が、屹立する梅田スカイビルのてっぺんを重く撫でつけているようだ。
 昼を済ませたぼ
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