梅田周辺/メチターチェリ
、ぼくは相手が誰によらず聴く立場になることが多かった。
極めて自然な配役だったのである。
「それで結局、ご祝儀の受け付けさせられるはめになってまって。仕事でも売上げの集計やで、そのうえ友達の結婚式でもご祝儀の管理任せられて。『もうどうでもいいや!』って感じ」
「なんだってわざわざ忙しい人間に頼むんだろう?」少なからぬ憤りを込めてぼくは言った。
「まあ信頼されとるんやろね。やからしょうがないかって。いいの、一人でやるわけじゃないから」
ぼくはその言葉に応える術を持たない。
隣の席には中年の夫婦が座っていた。大丸の紙袋を両脇に、ヒョウ柄を身にまとった妻が夫に向かって何やら軽快
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