梅田周辺/メチターチェリ
も好かれるだろう感じのいい笑顔。ぼくもやはり、紀子の笑顔が好きである。
昼下がり。映画を観終わったぼくらは、阪急梅田駅近くの喫茶店で遅めの昼食を食べていた。
外は雨で、傘をさす人の群れが途切れることなく続いている。
満員の店内で、タバコを吸わないぼくらは喫煙席に座り、映画の感想、最近の仕事の苦労話や、友人の結婚式の話をしていた。
話しをするのはおもに紀子の役目だった。ぼくは活き活きとした彼女の語り口に耳を傾けていた。
今日に限らず、出会ってから多くの時間をぼくらはそのように会話して過ごした。紀子が話し、ぼくが聴く。
彼女の話は実感がこもっていてとても上手だったし、ぼ
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