裏庭に唄うカエル/つむ
 
て腹を閉じる
もう何度も開かれたそこは痕がついてしまって
繰り返し読まれた
アルバムのようになっている

 夜が更けて疲れたカエル達を沈黙がつつむ
 明日の清潔な実験のために
 二、三匹が列を外されてゆく
 (……、  ……
 (………

満月から視線を落とせば
今日もすこし痩けた頬でまたたき微笑んでいる
街、
鳩尾に手をあてたまま 黙って眺める
ひたいを掠める夜風
私の中を吹き過ぎ、中心の装置を涼しい指で撫で
それがそこにあることをそっと知らしめてゆく

 カエル達がふたたび唄い始める
 (……えと、 いん、 せくら
 (せくろるむ、
 (…あめん、
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