裏庭に唄うカエル/つむ
明日はうつくしい晴れになるでしょうと
天気予報が告げた直後
午後の街のやさしい死に顔を
にわか雨が柔らかな水柱にとじこめていった
***
実験用の裏庭でカエルが鳴いている
ガラス戸を開けて ベランダに歩み出るが
カエル達はひっそりと唄をつづけている
(えと、 いん、
(せくら、
夜ごと私は自分の腹を裂いてみて
どす黒い血の塊を見つけ安堵する
骨のやぐらのあいだに置かれた
終末の装置を濡れた指でなぞってみる
いつか不意におどけた手つきで
ボタンを押してしまうかもしれない
それを恐れていないことを私は笑う
濡れた指先をゆっくりと舐めて腹
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