遺書にはならない足跡/セグメント
うは思い難いものだが。
また、たとえ待合室が混み合っていて、多くの患者が診察を待っているとして、それを思い遣る心が医者にあったとしても、現在診察中の患者に伝えるべき事柄であろうか? そうすると患者はますます焦り、本当に話したいことや話さなければならないことの整頓が成り行かなくなるのではないだろうか。少なくとも私はそうなってしまい、話すべきことが結果として良く分からなくなったまま診察を終えられ、その帰途の駅でホームの端から端までをとぼとぼと歩き、いつ飛び込んでやろうかと、電光掲示板を見ながら快速電車の通過を待っていたことは記憶に新しい。
人間に様々いるということは、当たり前に職業によっても様
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