遺書にはならない足跡/セグメント
 
うかと、死んでしまおうと思っているということを言葉少なにでも告白して来たのならば、私の身勝手な願いではあるが、どうか話を聞き、この世界に繋ぎ留めてほしいと思う。
 私の友人が言った、本当に死にたいならば黙って死ねばいいという言葉は乱暴に思える反面、本当に死にたい人間は本当に黙って死んでしまうのだろうということを私に気付かせてくれた。確かに、私が心底から死にたいのならば人の迷惑顧みず快速電車に飛び込むだろうし、包丁で手首を切るだろうし、高層ビルの屋上から飛び下りるだろう。それをしていないということは、本当には私は生きていたいのだ。生きて、作家になりたいのだ。それがせめて通過点として叶うまで、私は何
[次のページ]
戻る   Point(0)