遺書にはならない足跡/セグメント
めればいいというのだ、本当に死にたい人間を。その人の進む人生に、希望も歓喜も約束出来なければ、絶望や悲嘆の可能性を全否定することも出来ない。もうやめたいと願う人間に、頑張れと励まし、エールを送り、世に引き留めることが本当に正しいことだろうか。間違いとは言わないし言えないが、正しいとも私には言えない。
だが、私のような人間と出会った、あるいは今、出会っている方は、どうか出来ればその人の話を聞いてやってほしいと願う。本当には死にたくない、本当は将来の夢がある、本当は生きていたい人間が、時間や環境や性格や人間や、様々なもの、あるいは何かひとつのものに追い詰められて、もう死んでしまうしかないのだろうか
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)