遺書にはならない足跡/セグメント
薬が自分に合えば、数日、あるいは数週間で症状は落ち着いて行く。薬が合わなければ再び病院に行き、医師にその旨を伝える。以前とは違う薬が出される。
本当に死にたい人間は、誰にも言わずにひっそりと死ぬと聞いた。では、医師も含め、誰かに言ってしまう人間は本当には死にたくないのだろうか。あるいは、死への想いが本当ではないという証明なのだろうか? また、あるいは、本当は生きていたいがゆえに引き留めて欲しいのだろうか? 今の私には良く分からない。
だが、本当に死にたい人間はこうして誰かに言ったりせず黙って死ぬと言われて、私の感情に否定をぶつけられたように思ったことは事実だ。紛れもなく。ならば、私の死にたい
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