遺書にはならない足跡/セグメント
でバランスを取りながら。仕事をしたり学校に行ったりゲームをしたり本を読んだり買い物をしたり。少しずつ我慢をして、少しずつ昇華させて。
だが、その人が自分自身で自分に対処出来なくなって行ったとしたら、どうだろうか。大体において、急激にそうなるということはほとんどないだろう。私は医師でも専門的知識を多く持つ人間でもないので推測にしかならないが、昨日までごく普通の生活をしていたのに、今日になって急に電車に飛び込む人間がいるだろうか。ゼロではないだろう。この世は可能性の世界なのだから。だが、その場合であっても、急にそうなったとは考えにくい。軋みは、ごく微量ずつであったとしても降り積もって行っていること
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