遺書にはならない足跡/セグメント
る。それだけだ。ただ、それだけのことだ。
誰が苦しく、誰が悲しく、誰が生きることにあがいていようとも、本質的に捉えて言い切ってしまうことが許されるならば、それはその本人の抱える事柄であり、第三者からしてみれば無関係と言っても良いくらいの出来事に他ならない。よって、私がこうしてさびしく苦しく、ぽっかりと浮かぶ月を見上げては上階の情事が聞こえて来る部屋に帰りたくなくて泣くことも、半年以上のそれがきっかけによってメニエール病の疑いが掛かって通院が始まったことも、引っ越しをしたくともそこまでの資金がないことも、精神的不安を緩和させる為の薬を飲めば資格取得の為に通っている学校での授業中に眠たくなってしま
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