遺書にはならない足跡/セグメント
 
、生き物として本当の意味で交わることの出来ない命であること、自らの本質的問題には最終的には自らしか向き合うことが出来ない、解決は出来ないこと、身体的病、精神的病に立ち向かうのは最終的には自分ひとりであるということ。そういった考え方を私は数年前に知っていた。だが、事実的、体験的なものとしてはおそらく全くと言って良いくらい分かってはいなかったのだろう。それが、今年三月の震災以降、少しずつ浮き彫りになり、最近になって痛感するに至っている。
 不幸自慢をするわけではないと前置きさせて頂くが、私の家庭環境は多分に良いとは言えない。中学校に上がるまではそれが普通かとすら思っていたが、高校に入って、周囲の友人
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