遺書にはならない足跡/セグメント
 
今まで、恋人に対してこのような態度を取ったことは一度もないし、まして、友人などに対しても、このような言葉遣いを取ったことはおそらくない。別人であった。また、自分で言うのも恐縮だが、私はわざと相手を傷付けようと、陥れようと、時間やお金を使って画策する人間ではない。何かが乗り移っていた――そう表現するのが正しいのかもしれない。
 後日、病院にて、某日のことを話した時、乗り移られていると感じたか、操られていると感じたか、どちらであるかを尋ねられた。その時は、どちらも当て嵌まる気がして、はっきり返答することが出来なかったのだが、今なら分かる。乗り移られていたと。それを、私は私の中のどこかで見ていた。喩え
[次のページ]
戻る   Point(0)