小詩集【花鳥風月】/千波 一也
 
見えてきた


鳥の巣へ
親鳥がもどる夕暮れに
わたしは長々電話の途中


鳥の巣と
関係のない日のあれこれが
あちらこちらで雛となる





三 風のまもりて



風のなかには
なんにもないのです

だから
吹き抜けていく言葉にも
なんら意味などないのです

おわかりならば
すべてやさしく奏でましょう

嘘も願いも涙のわけも
せめてやさしく奏でましょう



風を
まもれるものがあるとするなら
風のほかにはあり得ません

それがおそらく
風へのあこがれの源です

そうして風は
まもられるのです



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