小詩集【花鳥風月】/千波 一也
 
てゆく
 (望むともなく重たくなって


花々の奥底に潜むものをうたうとき
命はその身をいだかれている

影の見つかりがたい確かなそれが
柱であることなど
薄皮たちには
わからない


身軽なものを見上げるまでは
わからない





二 鳥の巣



鳥の巣を
憎らしく見つめた夕暮れに
山の向こうで落雷があったという


鳥の巣の
落下をねがった昼下がり
無人の家屋が荒らされたらしい


鳥の巣が
天敵に襲われるさまを夢想した夜
わたしは微熱に見舞われた


鳥の巣に
試しに小石など投げつけた朝
空には晴れ間が見え
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