はちがつ/ホロウ・シカエルボク
真昼の太陽が照りつける小さな公園で炭酸がすっかり抜けてあまいだけになったぬるいコーラを地雷処理班の様な真剣な表情で飲みほしたきみはぼくの伸びすぎた不精髭に眉をしかめて公衆トイレに走って行った、きみが何をするのかわかっていたからぼくはあとを追わなかった、炭酸のすっかり抜けたぬるいコーラは、きみのある種の性癖の起爆剤としてもっとも適切、耳をすませば小さな嗚咽すら聞こえてくるようだ、20分ほど存分に青春を謳歌してきみが戻ってくる、「お待たせ」と言いながら。
ぼくは黙って頷く、きみにしてみればそれは本当にそれは公衆トイレの個室を使用したというだけのことに過ぎない、もちろんぼくはそのことについて
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