世界=内臓族/paean
 
横切った。思いつきの出まかせを言っただけなんだけど、我ながら最悪に愉快じゃない発言だった。
「どこでそんなこと知ったの」
「知りません。なんでもないです。わたしはほんとうにいい金づるだって、言いたかっただけです」
「そうだね、お金なんか取った覚えはないけど」


 し…って言いかけたら口を塞がれた。「黙れ」、好き。すごく。


 わたしの体の上であれこれして、内臓をつつきまわして(やっぱり好きだった)、やっと麻酔がかかったのを見てとると先生はキスしながら自分の左目をわたしの右目に押し付けた。大層びっくりしたけれど、目蓋を閉じようにも、ステンレスの鉗子がきちんと嵌まっていた。

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