批評の宛先/佐々宝砂
 
ターを書こうと思ったのか、私ははっきり覚えている。その昔ポーラ文化研究所が「IS」という雑誌を出していて、私はこの雑誌が好きだった(まだ廃刊ではないらしい。私はこの雑誌が好きだったのでポーラ化粧品に入社し、文化研究とは無縁な現場で四苦八苦することになる。しかしそれはまた別な話)。80年代のこの雑誌は、いい意味でも悪い意味でもサブカルチャー的な雰囲気を色濃く持っており、荒俣宏の文章だの盆栽パフォーマンス(誰か覚えてる?)の写真だのが気分良く無節操に並んでいた。そのなかに、『ラヴズ・ボディ』抄訳の連載があった。『ラヴズ・ボディ』は、引用文献・参照文献だらけの断片的アフォリズムからなる、ノーマン・O・ブ
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