書かなければいけない、ということについては/ホロウ・シカエルボク
 
ンナーが遊びで走ってるみたいに一日を流す、窓の外では、いつでも同じ物売りが近所の連中と立ち話をし続けている
ツクツクボーシが長いイントロからおなじみのフレーズを繰り返して飛び去っていく、きっとあいつは進化の過程のどこかでコルトレーンにいかれたことがあるに違いない
八月だぜ、鈍色の蝉が薬莢みたいに路上に転がり始めると、ほんの少し暮れ時が早くなる、眠るときに涼しくなって、目覚めるときに暑くなる、そうして誰もが、なにもかもが終わってしまったみたいな顔をして表を歩くようになる、市営プールの帰りの子供たちでさえもさ


そうして、おれは、技巧的に一日を見送りながら、書かなければいけないことに
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