同じ空の下/寒雪
 
せようと懸命に
自らの体温で校庭を包み込もうとする
天空の澄み切った光を
全身に浴びながら
校舎を見つめた僕らは
その時
同じ物を見て
同じ心を抱えて
同じ言葉を捉えて
確かに二人
同じ場所に寸分の狂いもなく
立ち尽くしていた


その時世界は
永遠に歩みを止めている
そう思えていたのに


二人の伸ばした手
同じ角度で優しさを抱え込むことが
出来なくなったのは
いったいいつからだったのだろう
あの日から気が付くと
どれくらいの春夏秋冬を肌に感じて生きてきたのか
今となっては思いつけないくらい
昔の話だ
きみはもういない
あの時二本だった腕は
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