同じ空の下/寒雪
腕は半分になった
もうぼくは最早自分のすべてを
心の中に仕舞い込んでおけなくなった
生きることがこんなに
不安定で弱くて畏怖を感じずにいられないなんて
思いもよらなかった
世界がどぶのヘドロに似た色合いだと
否応なしに気付かされた
生み出される今日という日を
積み重ねていく度
太陽はいつものように
大量虐殺を繰り返して
それでも飽く事のない欲求を満たそうと
地表に降り立っている
相変わらずぼくは
秘密警察から逃れるレジスタンスの心持ちで
太陽の目が届かない暗い木陰の下
息を潜めて生きる毎日
きみが今どうしているのか
ぼくにはもうわからない
同じ空の下
どこかで生きているのだろうと思うけど
それなら
きみとぼくはどうしてこうまで
違ってしまったのか
あの日からぼくの心に巣食って離さない
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