履歴書/佐々宝砂
種類のタイプがあって
ひとりはアダムに惚れる
もうひとりはカインに惚れる
と そこまではまあいいとして
じゃあ残るひとりは誰に惚れるんだろうと考えたが
そう急に結論が出るものではなかったし
15歳なりに私は多忙だったので
それきり続きは書かなかったが
頭のすみっこには残っていた
しばらくして私はカインに出会った
世界は奪われたのだと信じるカインの言葉は激烈で
おかげで私の世界も半分かたなくなってしまった
私はリリスになろうと決意して
カインとふたりで世界の半分を荒らしてまわった
ヘリコプターで薬を散布し爆弾を落とし
焼け落ちた建物の前に汚水をぶちまけた
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