山のお坊さんのはなし/チアーヌ
息子と娘の家には、それぞれ、かわいい孫たちが住んでいます。みんなが楽しく暮らしているのを確認すると、山のお坊さんは安心して、山へ帰ります。
山のお坊さんは、こんな風に、3箇所を回って暮らしています。多少、山のお寺を留守にしても、もう誰も困る人はいないからです。
ある日、奥さんとこどもたちの家を巡って帰ってきたお坊さんが、寺の山門まで戻ってくると、仲良しの鹿の長老が現れて、
「山のお坊さん、今夜はひさしぶりにお客さんが来るようですよ」
と教えてくれました。
「ほう、そうかい。それは、うれしいなあ」
山のお坊さんは喜び、寺の掃除をはじめました。
その夜、山の
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