山のお坊さんのはなし/チアーヌ
 
山のお坊さんがろうそくの灯りの中、ほとけさまにお経をあげていると、本堂に誰かが入ってくる気配がしました。
 山のお坊さんがゆっくりと振り向くと、お客さんは戸惑ったように挨拶をしてきました。
 「こんばんは」
 「こんばんは。さあ、こちらへどうぞ」
 山のお坊さんは、お客さんに座布団を進め、用意していた箱膳をお客さんの前へ並べました。
 山のお坊さんの心づくしの箱膳には、ごはん、おみそしる、たくあん、山菜の煮物などが乗っています。
 本堂の外には、山のけものたちが集まり、ひとつだけのろうそくの灯りを見つめています。
 みんな心から、お客さんを歓迎しているのです。
 今夜ひさしぶりに、50回忌を迎えるお客さんと、お坊さんは、昔の話をしながら楽しく過ごしました。
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