スチール/黒川排除 (oldsoup)
に、限られた枠組みの中に鉄分が寄り集まって流れている、こごえているもの、それはスチールである。いつか液体の中にひたされるのを待っているのかもしれない、冷たいだろうか、今よりも。凍てついた川の上でスケートを試みる子供達。照りつける太陽は白い色。燃えるように輝く氷は実際燃えていくのだ。子供が一人、亀裂に踏み込んで落ちる、一人、また一人、ぱりっという音を立てて。枯れ木を踏んだ時と同じような音。静電気が走った時と同じような。
紳士は永遠にここにいて動かないものだと思っていた、と、ぱりっという音を立てて突然その姿を消した。あまりに突然のことに瞠目したが、ベンチにはもはや何の痕跡もなかった。彼の座っていた
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