放浪する水/yo-yo
 
く、私は放浪する水だ。

公園には、男が住みついている。
男は大きな犬を連れている。首輪もリードもついている。ある朝たぶん、男と犬はいつものように散歩に出た。そしてそれきり、元の家に帰ることはなかった。
この3年の間で、犬はますます立派になり、男は薄汚れて小さくなった。
男は、芝草の斜面に愛犬と並んで座り、悠然と遠くの山を眺めている。犬は、テリトリーをしっかり守っている。近づくと吠える。いつのまにかふたりは、公園の風景を所有してしまった。

何を求める風の中ゆく、山頭火は歩く。
朝の公園も、いろいろな人が歩いている。それぞれに、何かを求めているようにみえる。
あるけば草の実すわれ
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