放浪する水/yo-yo
 
われば草の実。水の汗をかきかき、ただ草の実を集めているのかもしれない。
樹下石上。公園の草むらをねぐらにすれば、日々の公園をよぎる散歩者も、風の中の放浪者だろう。

酒よりも水が好きなわけではないが、夏はひたすら、飲んで流して歩く。水は無味無臭、体に残らず拘泥することもない。
ただ歩く。歩々到着。一歩一歩どこかにたどり着き、一歩一歩また遠ざかる。放浪する身には、酒よりも水の方がふさわしい。
体じゅうから水をふり撒き、あげく犬に吠えられ公園を脱出する。
どうしやうもないわたしが歩いてゐる。



     
*『山頭火句集』から数句引用しました。






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