子宮の大きさ/チアーヌ
ない、と
なぜ許せないのかわからないまま
たまに帰り道でわたしは
少年に出会う
顔見知りなので話をしたりする
なんでもない雰囲気で
でもわたしとその少年は
本当は11歳のときキスをして
体を探りあったことがあるのだ
でもそんなことはお互いにけして言わない
その日も雪が降っていた
コートのフードを被り
わたしたちは人の少ない道を選び歩く
何を話していたのかは忘れた
前後の脈絡は覚えていない
その少年は不意にわたしの目の前で握りこぶしを作った
「子宮の大きさってこれくらいなんだってさ」
急に強い腹痛に襲われてわたしは雪の中にしゃがみこんだ
痛い痛い痛
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