子宮の大きさ/チアーヌ
 
ない、と
なぜ許せないのかわからないまま

たまに帰り道でわたしは
少年に出会う
顔見知りなので話をしたりする
なんでもない雰囲気で
でもわたしとその少年は
本当は11歳のときキスをして
体を探りあったことがあるのだ
でもそんなことはお互いにけして言わない

その日も雪が降っていた
コートのフードを被り
わたしたちは人の少ない道を選び歩く
何を話していたのかは忘れた
前後の脈絡は覚えていない
その少年は不意にわたしの目の前で握りこぶしを作った

「子宮の大きさってこれくらいなんだってさ」

急に強い腹痛に襲われてわたしは雪の中にしゃがみこんだ
痛い痛い痛
[次のページ]
戻る   Point(51)