分別劇/佐々木妖精
 
は家を飛び出し
地球を何度も踏みつけた
数回足を叩き下ろしたところで自家用車をふかし
地球の顔面を掻き毟る
排気ガスを地球のツラに吹きかけながら
幾度となく辞めるよう諭された煙草をくわえ
窓から投げ捨てヤキを入れる

宛てどなくたどり着いた公園
妻とも遊んだボートで漂う心は
出会ったころ まだあどけなさの残るえくぼであるとか
どちらともなく初めて手をつないで 付き合うことになった日であるとか
幾度となくデートを重ね 初めて結ばれた夜であるとか
ウェディングドレス姿 ベールから覗く横顔が
これまで見てきた中で一番きれいだったことなどを思い出して

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