2つの輪/藤鈴呼
右の輪と 左の輪を
ゆっくりと 近付ける
磁石のように 反発し合って
上手く 絡み合わないけど
元は 同じ 光の輪なんだ
算数の時間は 良かった
1+1=2
これに 疑問を持たぬから 単純なのだと
自らを 貶める訳でも 無くって
二桁の足し算を
数行の ノートブックに書いて
答えを導き出す 瞬間には
一本 線を引く
それで キリッと姿勢を正す
数学の時間が 始まって
自由な服装から 制服に シフトした
数字ばかりの世界から
言葉で説明する必要が生じた
手にした コンパスで
二つの円を 描き
穴が 開くほど 見つめる
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