ぼくは/アンテ
行ったことすらない
どうして夏になるたびたくさんの人が押し寄せるのか
理解に苦しむ平凡な海だけれど
想像以上の大きさ
ってほどでもなかったけれど
とても懐かしい気がした
音が聞こえないぶん
よけい想像力がかきたてられるだと
今ならわかる
あ 船よ船
無邪気に指をさすヒナコちゃんの
言葉が直接心に流れ込んでくることにも
すっかり慣れてしまった
いつもの調子で
おとうさんが二度道を間違えて
行ったり来たり
高速道路の高架の向こうに
目的地の観覧車が見え隠れしている
学校に通ったって
どうせ楽しいことなんてない
って知ったかぶりしていた自分がおかしい
しゃべ
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