愚劣な牙のトランジスタ/ホロウ・シカエルボク
ているのか、立たされたのか、選択したのか、選択の余地があったのか、なかったのか、希望なのか、絶望なのか…ただ立って波の向うを眺めているというそれだけのことを、舵がないという一点がフォーカスを曖昧にする、海は激しく、猛烈な波をいくつも燃え上がらせる、例えるならそんな調子だ、例えるならいつだってそんな調子だ、そんなことになんらかの傾向を見出さなければいけないのか?整頓された感情に本能は宿ることはないよ、机の上だけで吐き出されたものからは涼やかな内臓の臭いがしない、内臓の臭い…もしも俺にこだわれるものがあるとすればきっとそれさ、もしも俺に傾向のようなものがあるとしたら…この両手は己が内臓に触れたい、手首
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