愚劣な牙のトランジスタ/ホロウ・シカエルボク
 
、漆黒か、白色に…おお!また夜明けが来る、また…また夜明けが!いったいどれぐらいの時が流れたのか?混迷と混沌と停滞と悪足掻きが濁流のようにこの身体を嚥下していく間に…震えろよ、畏怖が、恐怖がなければ触れることは出来ないぜ、人生は恐怖だろう、運命は恐怖だろう、暗闇を見せている黒幕は実は未来だ…生きる!生命は舵のない船の様なものだ!乗り込んだ、ことも、始まった、ことも、もう、やり直しは効かない!甲板に立って、高い波の向うを見つめていると、定義することが困難な感情が幅広の刷毛で塗られるみたいに心に忍び込んでくる、舵がないことで…そこに立っているという現在をどんなふうに呼べばいいのか判らないのだ、立ってい
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