愚劣な牙のトランジスタ/ホロウ・シカエルボク
 
し以上の意味なんかないさ、俺はそう思っているんだ…生まれる為の苦しみの様な狂気に溢れる夜毎、叫びを噛み殺すたびに胃袋が膨張して固まるような感覚の発芽、腹を裂けばきっと腐った声が、無数の腐った声がアメーバのように這いだしてくるのさ、成長とはいっそう近くに死を感じることだ、いっそう近くに死の感覚を垣間見ることだ、心当たりがないだなんて誰にも言わせやしないよ、そのことを理解出来ない生き物など、本当は一匹もいないはずなのさ、本当は、そう、どんな生き物だって本当はきっと、死を見つめることで生を覚えているはずなんだ、見つめて、そうだ、震えながら近づいてゆくのだ…近づいて触れた時、世界は塗り替えられるだろう、漆
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