愚劣な牙のトランジスタ/ホロウ・シカエルボク
物に、そんなもの果たして存在するのか?ある、というのなら、それはどんなふうにして確かめることが出来るのだ?逆にだ、先の保証がなければ動くことは出来ないのか?確かに保証されるゴールがなければ動くことは出来ないのか、そんなの小さな話だと思わないか?生きてるうちに得られる悟りなんか本当に欲しいか?本当に、欲しいか…?混迷と混沌と停滞と悪足掻きこそがこの俺の安泰、この俺の心を安らかにさせる騒ぎさ、生きてる限り確かな感覚など手に入れたくはない、生きてる限り一〇〇万の騒ぎの中で呆然としていたい、それこそが俺を進行させるのだ、判るだろう、先の判ってる道なんか何度も歩きたくはないだろう?知りえたものには気晴らし以
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