空白にかえる/ズー
かで想像している
夢をみる日があって、
ぼくは、あなたのゆびを
うん、そう、十本すべて
のゆびを、ぼくの
からだに入れてほしい
朝があるんだ」
「そんなの嘘だ」って
いいたくなるくらいの
飴細工みたいな髪を
束ねた女の子が毎日
僕の家の前をスキップし
ながら通りすぎた
きれいな女の子だった
その光景を
生意気な弟と、ぼくらも
ひどくささくれ立った家
の窓枠にしがみついて
ほとんど毎日眺めていた
その、ぼくらの背中を
母さんは夏のあいだ中
眺めていたってわけ
なんだけど
秋と、冬をすごした頃に
きれいな女の子のことを
尋ねても
「おぼえてないわ
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