黄金の牛(更新中)/みつべえ
曲がり、顔はしわくちゃになってしまうものなのです。ジェルは、いつかくるそれが死ぬほどいやでした。老いさらばえて生きるくらいなら、死んだほうがましだと考えていました。いつのころからかジェルの心に、老いの徴候が少しでもあらわれたら自殺してしまおうという思いが、強迫観念となって宿りました。
女たちの貢ぎ物で何不自由なく、裕福にくらした楽しい歳月(この時代のことは、また別の機会に語ることもあるでしょう。たぶん)の後、とうとうその日がやってきました。
ある朝、鏡の前に立ったとき、輝く金髪のなかに一本の白髪を見つけてしまったのです。ジェルはその場に凍りついたように、何時間も立ちすくんでおりました。
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