燐光/るるりら
 


念ずれば動くものだ。扉が 青銅の扉が
嗚呼 開いてゆく、わたしは また新たに なる


命よ

「見込みあればこれを試みざるべからず。
 未だ試みずして先ずその成否を疑う者は、
 これを勇者というべからず」

命よ
 青銅の扉の隙間から見えるあの光は なんだ
 蛍か 
 光は呼応しあい 波うつ
 扉の両縁からみると両岸によりそう 蛍のようだ
 あれらは だれの思いだ

命よ
 扉があけはなたれた
 地下水に溶けた銅に浸された わたしの肉体に 光が差し込む
 放埓な光が 
 わたしの表層から剥がれ 舞う
 自由
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