邪魔にならないところに放っておいてくれ/ホロウ・シカエルボク
眠りたい理由なんて特別あるわけじゃなかった
一匹の子蜘蛛を殺さずに逃がした
夜は殺した方がいいらしいけれど
ジンクスで殺される命なんて雑にもほどがある
打ちたくないから打たなかっただけさ
そいつは首筋を掻くように這っていた
口をすぼめて吹くと部屋の隅へ飛んで行ってしまった
どこまで飛んでいったのかなんてどんなに目を凝らしてもきっと判らないだろう
すぐに殺せそうなものほど殺せないものさ
確かにそんな風に感じるものが他にもひとつあるだろう?
ゆるやかに痺れる脳髄は電気仕掛けの夢を見る
それはすなわち臨終の様な景色かもしれない
ああ電気で命を計測される生
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