邪魔にならないところに放っておいてくれ/ホロウ・シカエルボク
 






自動世界の歪みに落ち窪んで漏電
浮遊する未浄化のたましいたちが天井に残す曲線は
首吊り縄の正確な模写のようだ
水面の波紋のようないのちの明滅
電気仕掛けとおなじくらいに
電気仕掛けとおなじくらいに
年老いた老犬がまっすぐ歩けずに
溝に落ちて溺れ死ぬ音が聞こえる夏の始まり
湿度の中には不慮の死が潜んで涙を流している
六月の雨は
なにかを洗い流そうと躍起になっているみたいに思えるんだ
眠りを忘れた真夜中に落下するように目を開けていると
確かに誰かを殴りつけたような気がする、それが
本当に束の間の夢の中のことであったならいいのだ
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