さくらぞめ/亜樹
 
国でやって無くたって、琥太が知っていたのだもの。他の人が知ってたって可笑しかないわ。本当にやった人だっているかも知れない」
「そうかもね」
 僕は『知って』などいない。単なる空想だ。けれども彼女の中ではもうそれは現実の出来事として認定されてしまっているらしい。
「そうよ、ねぇ琥太。……確かめてみない?」
「……何を」
「決まってるじゃない」
 小さな声で、けれどはっきりと彼女は言った。




「本当に『桜の木の下には死体が埋まっている』かどうか、よ」

















 ざ、ざ、ざ。

 ざざ、ざ、ざ。


 か
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