さくらぞめ/亜樹
 
な青い目をした女の子を好きになるわ。琥太を嫌いになる子なんていない。きっと、琥太は、南の国で、とてもとても、幸せになるのだわ」
 夢みるように、沙名は言った。僕もそれを真似た。けれど、どんなに頑張ったって、その夢の中で、青い目をした女の子は、沙名の顔をしていた。
「沙名。沙名はね、きっと、之村さんのことを、とてもとても好きになれるよ。之村さんは、きっと、とてもいい人で……僕よりずっと優しいよ。沙名になんだって買ってくれる。この釦に画かれてる貴婦人に負けないような、美しい女性に、沙名はなるんだね。餓えることも、虐げられることもなく、幸せに、とてもとても、幸せになるんだね」
 沙名は笑った。肩を
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