たどたどしい進法の季節、かさばる目覚めに血を掻いたなにか/ホロウ・シカエルボク
の歌を聴かせて
雨の歌を聴かせて
この季節は
そんな進法によって刻まれている
流れていって
ナシになる朝と夜、そう
水抜きの穴から
誰にも見えない地下の通路を抜けて
昔
俺は浄水場の
すぐ近くに住んでいた
いつだったか
巨大なコンクリの水路に
潜り込んだことがあった
地下3メートルほどの縦穴から
世界を見上げたことがあった
細長い穴が無数に開いた鉄の蓋によって
午後の太陽が出来たてのパスタみたいに降り注ぐ穴
水が来たらお終いだと思った
息が出来なくなって死んで
膨れるまで見つからないのだろうなと
あのときなら受け入れることが出来たかもしれな
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