いきもの、が、騒ぐから/ホロウ・シカエルボク
 

失うだけ失った今をこそ希望と呼ぼう
本棚に立てかけたまま目次すら
まだ目にとめたことのない本のように
呆然とした真夜中を希望と呼ぼう
血が言葉を語った
長い時間をかけて
書き連ねてきたいくつかのシチュエイションを
血が言葉を語った
そんな風に話してくれと
細胞に染み込んだ記憶が
目を伏せることを許してくれない
血が言葉を語った
こころは肉体をふるわせてこそ成り立つ
指先だけで済ませるつもりなら
四肢を切り取って舌に鉛筆を結び付けておきなさい
いきものが騒ぐから
黙っていられないんだ、誰も


あかるく明けてゆくことも
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