「名」馬列伝(21) トミシノポルンガ/角田寿星
の完勝劇であり、この世代の最強馬が決定した。
彼は前めの競馬ながら末を失い、直線どんどん離されていく。4着。勝ち馬から1秒6差、3着の逃げたロイスアンドロイスからも7馬身離された、完敗。彼らに並びかけることさえできなかった。中央の壁は厚く、筆者の夢は愚か者のみる夢であった。
後日、安藤勝騎手は「あれで力の差を思い知らされた」と語る。逆に言えば、このレースまでは、彼に一縷の望みを託していたことを感じさせる言であった。
当時の安藤勝騎手はまだ笠松所属で、騎手にとっても中央の壁はまだまだ厚かった。G1に騎乗するのもお手馬がステップレースで好成績を挙げる必要があり、そんな馬は滅多に出会えるものではな
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