みばう/salco
 
椎や滑らかな大胸筋
隆起した大臀筋のせいで
面目を潰されては堪らぬのだと

この手淫胡弓の十銭売女め
真夜中に亭主が出て来て
耳に冷たい息を吐きかけるのだよ
悲しい俺の為に弾くがいい、
寒がりな俺の為にもっと激しく擦るのだ
このように亭主は咳血にこけた胸板を
優しくたわむ乳房に重ねて命じる
落命の無念が亡霊の執念となり、
早くも褪せつつある肖像の目に宿り
淫欲の焔となって
須弥壇の冷えた燭の燈芯に、
灰に埋もれた線香の黒焦げた先端に
棲まうのだから

お前はほれ、
こうして可愛く応えたものだろう?
あとからあとから溢れる悦びの水源に
肘まで腕を突込んで、亭
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