クロール/ホロウ・シカエルボク
 

なにも考えずにただ横になれと
眠ることが出来るならそれが一番いい
それについては誰に言われるまでもないのだが


裏口の窓に近くのホテルのネオンが反射して
いつもこの時間にはいかがわしい虹が見える
キッチンで水を飲むと喉に痛みが走り
腰をおろしてテレビを見ると首すじが悲鳴を上げる
それはいまここにいる
この中を泳いでいる
古の聖堂の中を彷徨う200年前の牧師のように
自分の車を探してショッピングマートの駐車場をうろついている娘のように
もうすこし早く手を動かしてみろ
もうすこしきちんと手を伸ばしてみろ
俺はいつのまにか亡霊に話しかけている
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