朽ちた世界に降り積もる渇いた灰のささやかな音/ホロウ・シカエルボク
の、かつて、そこに誰かが住んでいたもの、かつて、誰かがそれで海を渡ったもの…美しい女の死体写真のようにそれらは愛される、美しい女の死体写真のようにそれらは美しいのだ、いや、それらは美しい女の死体写真のように美しくあることでしかないのだ、それ以上も以下もない、開いたまま終わってしまった瞳孔のおだやかな艶だ、飴のように舌で転がりそうな…なれの果ては我知らず愛してしまうのが道理だ、己の中の渇きと、そう、同じ調べを見て…自分によく似た石膏像にキスをするかのように道理だ、渇いてひび割れてゆく己が内臓を、そこに重ねているのだ……少し肌寒いくらいの夜に起きていようとすると肩の付け根におかしな痺れを感じ始める、麻
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