朽ちた世界に降り積もる渇いた灰のささやかな音/ホロウ・シカエルボク
 
ず、それがいつまでなのかも判らないまま…それは人が去り朽ちた家屋が語るものとよく似ている、その中ではたくさんの動物が死んでいる、たくさんの動物が死んで渇いている、もはや臭いもなくなっている…もう動物すらそこには近寄らないのだ、渇いていて…その佇まいは命とはリンクしないから、いつからか…床であった場所に散らばっている壁や天井であったもの、それらは牙のように地面から鋭角な先端を突き出している、まるで座礁した船のなれの果てだ、本来の目的を失ったものたちのなれの果て、錆びて、渇いていて…サラサラと少しずつ存在が消え失せてゆく、それらのものはかならずかつてという言葉ともに語られる、かつてなにかであったもの、
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