朽ちた世界に降り積もる渇いた灰のささやかな音/ホロウ・シカエルボク
 
、この身につけられた名前も成り立ちも周囲のやつらはみんな知っている、認識されれば命は出来あがる…鼓動など聞かせる必要は初めからない、温度など感じさせる必要は…冷たくても個人的で動作さえ目視出来れば…可能な限りまで折り曲げてみる関節、最後まで巻いたねじまきのような音が聞こえてくるまで…最後まで巻いたねじまきの音は浅い眠りの中の歯軋りの音に似ている、眠りが削がれている、眠りが…目を開けろ、流れを変化させて、死んだように眠る必要がある、だけどまぶたは開かない、同じ音が鳴り続ける、錆びている、とその音は語るだろう、どうしようもなく錆びついているのだと…そうして鳴らなければ気付くことが出来ないのだろう、と…
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